趣意書
日本の刀剣製作とそれに伴う技術は、約二千有余年の永き歴史を有し、知識と知恵を駆使しながら改良と変遷を続け今日に継承されており、その技術の高さは世界に類を見ない周知の通りであります。
また、我々の遠い祖先は刀剣に日本人独特の審美眼による奥深い幽玄の美を求め、これを鑑賞し、心の糧として参りました。
これらは決して絶やしてはならない重要な日本の文化であり、我々には、次の世代に正しく伝えなければならない責任があります。
毎年一度、草薙の御剣の御神前で刀剣とその技術を奉納する事は、伝承の一環であり、歴史的文化的にも特に意義のある事であります。
さらに御剣の御加護を賜ることができますれば、完成度の高い作品を造るため真摯に研究努力をかさねている工匠の今後の精進の励みになる事必定であります。
ここに、草薙の御剣を崇敬し、伝統文化の大切さを認識している人々が集い、これら工匠諸兄の奉納を支援し、自らは心の奉納をすることがこの会の趣旨であります。
刀剣文化研究所 所長 髙山武士
※上記の文章は「熱田神宮刀剣並びに技術奉納奉賛会」パンフレットより、著者の許可を得た上で引用させていただいております。